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【第911話】 「津波に耐えた大樹」 2013(平成25)年4月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第911話です。

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 津波に耐えた陸前高田市の奇跡の一本松。結局は自力で生き延びることができず、一旦切り倒し復元保存することになりました。幹の部分の芯をくりぬき、カーボン製の心棒を施し、枝葉もレプリカつまり模造品です。震災2年目に合わせて元の場所に復元したものの、枝葉の角度が前の姿より下側に傾いているとかで、取り付け作業をやりなすことになりました。一連の復元にかかる経費は、1億5千万円だそうです。

 一方、徳本寺檀家の斎藤さんは、「津波に耐えた大樹残したい」という投書を河北新報に寄せています。斎藤さんは中浜という地区に住んでいました。この度の大津波が一帯を襲い、家並みはすべてなくなり、災害危険区域になりました。しかし、斎藤さんの屋敷にあった樹齢300年ともいわれる欅の大樹は、流されませんでした。そして枯れることなく、青く芽を吹いたのです。一度は絶望の渕を見た斎藤さん一家は、しっかり根を張り大津波に耐えた大樹を見て、心の支えとしてきました。

 しかし、住めなくなった土地を町で買い上げるとなれば、樹木は伐採して更地にしないとだめなのだそうです。津波に耐えて生き残り、震災以後を生きている人々の生きる糧となってきた大樹を、伐採せずに何とか残すことはできないでしょうかと訴えています。

 この大樹は、こんもりとした枝振りで、幹も3mを超えています。いかにも大樹という姿です。私は和尚さん仲間と、短くて首にも頭にも巻けないけど、震災にも負けないという「まけないタオル」で震災支援活動を行っています。そのテーマソングに「大樹にまけない 根っこのこころ 揺るぎはしないから」という歌詞を書きました。その大樹のモデルこそが、この欅なのです。現在タオルは各地で7万枚配られ、被災者もタオルを握りしめ、強い根っこのこころで、まけないという思いを抱いています。

 それから、津波で壊滅状態になった徳本寺の中浜墓地跡に、震災犠牲者の鎮魂と被災地復興の礎となることを願って、「千年塔」が建ちました。これは五輪塔としては、日本一高いといわれる奈良県西大寺の叡尊塔を等身大のモデルに造られたものです。その千年塔のすぐ先に、欅の大樹を見ることができ、更にその先には太平洋が広がっています。海と千年塔の間に、大樹はあります。それは海の怒りを鎮め、祈る人々の姿を優しく見守るようです。自然の脅威に耐えた大樹が、人間の都合で伐採されては、ほんとうに根こそぎです。

 「散る花の枝にもどらぬなげきとは 思いきれども思いきれども」(一茶)。一度伐採してしまえば、1億5千万円かけても、レプリカでしか復元はできないのです。思いきれないのが自然です。

 ここでご報告致します。3月のカンボジア・エコー募金は、156回×3円で468円でした。ありがとうございました。

 それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。

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