法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第905話】 「心に刃を」 2013(平成25)年2月11日-20日

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905.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第905話です。

 2月15日はお釈迦さまが亡くなられた日、涅槃会(ねはんえ)です。お寺では2月に入ると、お釈迦さまが亡くなられた様子を描いた涅槃図を掲げて、そのご遺徳を偲びます。寺に生まれ育った私は、小さい時からこの時期に、その涅槃図を観てきました。本堂という空間のせいもあるのでしょうが、なんとなく怖い絵だなという印象がありました。


 特に、左右に描かれている二人の男の人です。赤い肌の屈強な体つきで、怖い顔をしながら泣いています。まるで赤鬼のようだと子ども心に思ったものでした。勿論、鬼ではありません。よく山門の両脇に祀られている仁王さんといわれる金剛力士なのです。金剛剣を持って、非法の者を打ち砕くという仏法を守護する力士です。相撲を取るのも力士ですが、ここでは真に力の強い人を言うのでしょう。その力士も、お釈迦さまの死を、嘆き悲しんでいるのです。普段は怖い存在であるはずの人も、泣かざるを得ないほどの、衝撃的な出来事であったということを表わしているのかもしれません。

 さて、この方もお釈迦さまの時代に生きていたら、真に力の強い力士として、そのおそばにおられたかもしれません。昭和の大横綱大鵬です。残念ながら、1月19日に亡くなられました。それこそ日本中の多くの方がその死を悼みました。そして、改めてその偉業が偲ばれました。史上最多の32度の優勝、8度の全勝優勝、45連勝など、「不世出」「戦後最強」という賛辞に偽りはありません。

 その大鵬の座右の銘は、忍耐の「忍」だったそうです。「心の上に刃(やいば)を載せて生きていく。必死に生きてきた私の人生」とおっしゃっています。なるほど「忍」いう字は、心の上に刃があります。刃はその作る過程において、鋼を何度も叩いて、まさに鍛錬するわけです。さらに、焼き入れや水にも浸けます。粘り強く鍛えられた象徴が刃です。ですから、「忍」とは粘り強くこらえる心を意味しています。

 大鵬は確かに体力と才能に恵まれていたのでしょう。それに甘んじているだけなら、そこそこの力士で終わったかもしれません。「私は天才ではない。努力だけでここまできた」とは本人の言葉です。それがまさに「忍」なのでしょう。

 お釈迦さまの最期の説法といわれる「遺教経」の中に、「能(よ)く忍を行ずる者は、乃(すなわ)ち名づけて有力(うりき)の大人(だいにん)と為すべし」と説かれています。有力とは力が有ると書きます。大人は大きい人つまり、修行の円満した徳のある人を言います。

 金剛力士が金剛剣を持って、仏法を護ったように、大鵬は常に心の上に刃を載せて、稽古に稽古を積んで大人たる力士人生を歩んだのでしょう。

 ここでご報告致します。1月のカンボジア・エコー募金は、89回×3円で267円でした。ありがとうございました。

 それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。

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