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【第902話】 「脱皮」 2013(平成25)年1月11日-20日

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902.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第902話です。

 全国の方から多くの年賀状をいただきました。巳年と蛇の生態にかけて、「脱皮」を願う言葉が見受けられました。脱皮とは、爬虫類などの動物が、成長につれて今までの表皮を脱ぎ捨てることをいいます。転じて、進歩・発展のために、古い考えや習慣を捨てることを指します。今年の箱根駅伝を制した日体大(日本体育大学)は、見事な脱皮をなし遂げたようです。

 日体大は去年の第88回箱根駅伝までは、64回連続出場、9回の優勝、しかも1969年から5連覇も成し遂げたことのある駅伝の名門校でした。しかし、昨年は最終走者に襷がつながらず、繰り上げスタートとなり、チーム史上最低の19位という結果に終わりました。今年は予選会を勝ち抜いての箱根駅伝出場でした。大方の予想を裏切るかのように、見事10度目の総合優勝を果たしました。

 日体大は2009年には、部員が合宿所で大麻を栽培、吸引する事件によるシード権のはく奪がありました。加えて去年の屈辱的な成績で、もはや過去の名声は地に落ちた感があったのではないでしょうか。しかし、地面を舐めるかのような辛酸を味わったからこその、今年の結果とも言えそうです。優勝インタビューで4年生の選手は「去年中途半端な順位だったら今年も同じだったと思う。19位だったから優勝できたんです」。

 去年の結果を受けて、それを忘れないために、学生寮の食堂には、途切れた襷を飾りました。そしてこれまでの意識を改革していきます。走ること以前に、普段の当たり前のことを当たり前にやるということです。裏を返せば、それまでの普段の生活が当たり前でなかったということです。規律を守らない、食事を残す、そんなことをしていても、そこそこの成績を残してくることができた。そうなるとそれでも良いという雰囲気が蔓延して、それ以上の進歩は望めなくなります。

 ところが、後がないところまで落ちると、尻に火がついたように、これまでのようにしていてはだめになるという意識が芽生えてくるものです。日体大の選手は、規律を守るという意識改革を、途切れた襷から教えられます。その結果、6時からの早朝練習前に10分間のグランド掃除を行う、寮の消灯時間をきちんと守る、食事も残さず食べるなど、生活の意識が変わっていきます。それは何のために走るのかというところまで行き着くことでしょう。自分が自分であるために走る、日体大の選手はそんな思いを抱いて、箱根路を走ったような気がします。

 年賀状に「脱皮」の文字が、いくつも見られたのは、今の日本がどん底で、脱皮できるチャンスだということなのでしょうか。どん底だからといって、一気に上を目指しても叶わないでしょう。当たり前のことを、当たり前にやり続けることから始めましょう。そうだっぺ!?

 ここでご報告致します。12月のカンボジア・エコー募金は、104回×3円で312円でした。ありがとうございました。

 それでは又、1月21日よりお耳にかかりましょう。

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