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【第895話】 「火事場の馬鹿力」 2012(平成24)年11月1日-10日

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895.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第895話です。

 「火事場泥棒」と言いたくなるような復興予算の使い道です。東日本大震災の復興の為に5年間で19兆円を投じるといいます。しかし。被災地とは直接関係のない事業が数多く含まれています。北海道や沖縄などの官公庁施設の改修などに億単位の予算がついています。また、農林水産省は反捕鯨団体の対策費に5億円を計上。その理由は、調査捕鯨が妨げられると被災した宮城県石巻市周辺の缶詰工場の再興が滞るとか。とってつけたような理屈です。

 それでも、東日本大震災復興基本法に照らし合わせれば、あながち違法な予算とは言えないのだそうです。その第1条に「大震災からの復興を円滑にして、活力ある日本の再生を図る」というような文言があるからです。要するに復興予算は、被災地の復興だけに限っているのではないようなのです。百歩譲って、日本の再生を図るのは良しとしても、先ずは何事も被災地優先に予算を執行しなければならないでしょう。家屋敷を失った人がたくさんいる。鉄道が流された。働くところを失った。被災地では今の今、困っていることが山積しています。それなのに、目に見えた復興がなされていないのは、必要な予算が必要なところに来ていないからでしょう。復興にこじつけた事業が日本全国に行き渡っているのに、です。

 被災した宗教施設は更に深刻です。「政教分離」の壁があり、公的支援を受けられません。流された寺や神社を再建しようにも、檀家さんや信徒さんも被災して、とても負担を求められる状況ではありません。私のもう一つの住職地の徳泉寺もその例です。そこで徳泉寺では、「はがき一文字写経」を全国に呼びかけています。はがきに好きな一文字を写経して、一口5千円の納経志納金を納めていただくというものです。これまで500人を超える方より申し込みがありました。

 先月、朝日新聞の小滝記者が、「はがき一文字写経」を取材に来られました。そして、10月19日の朝刊で紹介して下さいました。その中で、政府の復興構想会議で、作家で僧侶の玄侑宗久さんが、寺や神社を「コミュニティー施設」ととらえて支援策を講じる提言をしたものの、「憲法の関係で入れられない」と拒絶されたことも載せていました。

 被災地の社寺を多く取材してこられた小滝さんは、葬送や祭礼を通して、住民が交流する場をそこに見ています。避難所となった社寺にも触れ、その「安心機能」を活用することが地域復興の鍵になるのではと書いています。住宅の再建や道路の整備だけで、復興とは言えない。住民が交流できるようでなければならない。それには社寺の力が必要である。だから宗教施設とはいえ、不特定多数の人々が集うところとらえて、公的支援策をとってほしいという、心強い論説を展開して下さいました。

 さて、私も火事場泥棒など相手にせず、火事場の馬鹿力を発揮して、寺の復興に精進しましょう。

 それでは又、11月11日よりお耳にかかりましょう。

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