法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第894話】 「移動図書館」 2012(平成24)年10月21日-31日

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法話の再生894.mp3


DSCN1742_4.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第894話です。

 その背の高いワゴン車は、白と黄色の塗装が施してあり、かなり目立ちます。「立ち読み お茶のみ おたのしみ」そして「走れ東北!移動図書館プロジェクト」と車体には書かれています。その車が徳本寺の駐車場にいつも止まっています。SVAシャンティ国際ボランティア会が徳本寺の境内地に山元事務所を開設したためです。

 SVAでは昨年7月から、岩手県で仮設住宅を回る移動図書館活動を始めています。単に本を借し出すだけではなく、コーヒーやお茶を飲んでいただき、会話を交わす「お茶のみどころ」という役割も担っているようです。災害時には本など見向きもされないかもしれません。しかし、時がたてば荒んだ心に潤いが欲しくなります。ちゃんとした本があれば、心の豊かさを感じることができます。特に子どもにとっては、漫画であれ絵本であれ、興味のあるものは、むさぼるように読み耽ります。子どもの柔軟な心は、本を読んで栄養を吸収し、どんどん広く大きくなっていきます。本は心の栄養です。

 岩手県での実績を受けて、宮城県の山元町でも移動図書館活動を行うことになりました。隣接する福島県の南相馬市にも、その活動を広げていきます。9月26日に初運行して、山元町の仮設住宅4ヵ所を巡回しました。約2000冊の児童書や漫画、小説などを車に積んで、無料で貸し出しています。津波で自宅とともに、本もすべて流された人がたいていです。訪れた人からは、玄関横付に近い図書館に、とても便利と喜ばれたようです。

 更に利用者はお茶を飲みながら、津波の恐怖や、現在の暮らしの辛さ、将来の不安などをスタッフに語りかけてくるといいます。それまた、大切な時間ではないでしょうか。生きるための心の栄養の一つとして、本はありますが、本と自分だけでは生きていけません。誰かとの関わりの中で、私たちは生きています。自分という存在を誰かに分かってもらうことで、生きている実感を得ることができます。話をする、話を聞くというのは、お互いを知る一番の近道でしょう。それと反対に、無視されるのは、一番辛いことです。その意味で、移動図書館は本という栄養を、人のぬくもりで吸収しやすくして、心の復興に役立っていけるような気がします。

 「明日 死ぬかのように生きろ 永遠に 生きるがごとく学べ」これはガンジーの言葉です。被災地復興の道のりは険しくとも、一人ひとりの心の復興をまず見据えたいものです。明日死ぬと思えば何でもできます。今学べることをおろそかにせず、今できる仕事をしっかり成し遂げるという心がけがあれば、明日という日は必ずやってきます。移動する図書館を大いに利用して、移動しないぶれない信念を培いましょう。

 ここでお知らせです。いつもは電話でお聴きいただいているこのテレホン法話を、たまには徳本寺まで移動して聴いてみませんか。10月28日(日)午後2時より、徳本寺本堂にてピアノ演奏にのせて法話を語る「テレホン法話ライブ」を行います。ゲストはロックバンド「チープパープル」です。入場は無料です。

 それでは又、11月1日よりお耳にかかりましょう。

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