法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第869話】 「老女の涙」 2012(平成24)年2月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第869話です。  20120211-2.jpg

 その老女は100歳近い方です。お釈迦さまのご遺体の左足にすがって泣き崩れています。今から2500年程前の2月15日にお釈迦さまは80歳でお亡くなりになりました。金色に輝くご遺体は赤い法衣をまとい、沙羅双樹の森の中に安置されました。老女を始め大勢のお弟子さんや、森の鳥や獣までが、その死を嘆き悲しんで、泣いています。そんな様子を描いた涅槃図を掲げ、お寺ではお釈迦さまのご遺徳を偲んで涅槃会のご供養が行われます。

 その老女は、若いころからお釈迦さまにお会いしたいと願い、旅に出ました。いつも行き違いになってしまい、お目にかかれないまま歳をとってしまったのです。ようやく沙羅双樹の森の中に辿り着いた時には、お釈迦さまは亡くなっていました。とうとうお釈迦さまに何ものも供養できなかった、そして一言もそのお声を聞くことができなかったという悲しみのあまり、お御足に手を載せて泣いているというのです。

 さてお釈迦さまが荼毘に付される時のことです。棺からお釈迦さまのお御足を出したところ、無垢の金色であるはずのお御足の先が黒い染みになっていました。お釈迦さまが金色に輝く時には二つの因縁があるといわれます。ひとつはお悟りを開かれて仏陀となられたとき。もうひとつはこの世の寿命が尽き、涅槃に入られた時です。それなのにお御足の黒い染みは不思議なことでした。

 その疑問に対して、弟子の阿難が言われました。「それは老女の落とした涙の跡です。それが染みとなり消えないのです。老女の志の深さを称え、そのことをみんなに伝えるために、お釈迦さまは自らの足に染みを残されたのです」。それを聞き、みなの者は、涙の跡が残るお御足を礼拝されました。

 さて何十年会いたいと思いながら果たせなかった老女とはまた異なるかもしれませんが、せめてもう一度会いたいと思って、涙にくれてこの一年間を過ごした方がたくさんいらしたはずです。東日本大震災で亡くなられた御遺族の方は、ほんとうに今の今まで元気でいたのに、こんなに突然に大切な人がこの世からいなくなるとは、信じられないという思いでしょう。何を見ても何を聞いても亡き人を思い出し、今にも帰ってきそうだ、否帰って来て欲しいと願ったことでしょう。そうして流した涙は、老女の涙のように尊いものだったことでしょう。

 もはや亡き人は十分にその涙を受けとめてくれたはずです。お釈迦さまのように、足に涙の染みを残すことはできなかったかもしれません。ただ私たちの流した涙が染みた大地に、新しい命や新しい町ができたとき、その命や町はお釈迦さまが残されたお御足の染みと同じなのではないでしょうか。今涙を風にあずけて、復興の大地を踏みしめていきましょう。

 ここでご報告致します。1月のカンボジア・エコー募金は、194回×3円で582円でした。 ありがとうございました。

 それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。

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