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【第868話】 「13人の同級生」 2012(平成24)年2月1日-10日

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お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第868話です。20120201-4.jpg

 昨年2月5日小中学校の同級生168人のうち、60人が一堂に会しました。還暦を祝う会です。この時すでに、9人の同級生がなくなっていました。まだ60歳という年齢なのに、少し多いような感じがしました。最初に亡き彼らに黙祷を捧げて、会は和やかに進行しました。配られたパンフレットには、成人式以降の、各節目の同級会の写真が掲載されていました。

 若い頃は、それなりにみんなほっそりして、髪もふさふさしています。歳を加えるごとに、肉付きはよくなるものの、髪の毛は薄くなっていくのがわかります。増えた肉1グラムにも、消えた髪の毛1本にも、その人の60年の人生が、映るようでした。ともあれ、敬称抜きの名前で呼び合い、あっという間に、40年50年前にタイムスリップすることができるのも、同級生ならではです。何十年ぶりで会う人と話をしていて、昔の面影がやっと感じられた時に、時の流れを実感します。自分も同じように歳を重ねてきているのですが・・・。

 そんなかけがえのない同級生と、かけがえのないひとときを過ごして、1ヶ月も経たない3月11日に、東日本大震災が我が故郷を襲いました。大津波は13人の尊い同級生の命を奪いました。同級生同士で結婚して夫婦で犠牲になった方もいます。学年毎の犠牲者の数は分かりませんが、我が学年の13人は、少なくはありません。あの時カラオケでプロ顔負けの喉を披露した奴、控え目ながらかいがいしくお世話役をしていた人、還暦青年よろしく夢を語った男。みんな元気で、これからも何回も同級会で顔を合わせていけると誰もが信じて疑わなかったはずです。

 還暦は生まれてから60年経って、再び生まれ年の干支に還ることです。今どきの言葉で言えば、リセットする感じでしょうか。勿論、肉体的にも精神的にも、若い頃のようにはいきません。それでもこれまで好むと好まざるとにかかわらず、背負ってきた荷物の整理をするチャンスかもしれません。道元禅師は『永平広録』に「光陰は箭(や)の如く、人命は駐(とど)め難し、頭燃(ずねん)を救って学道せば、すなわち先仏の面目、曩祖(のうそ)の骨髄なり」とお示しです。月日は矢のように過ぎ去る。人の命も不変ではない。だから頭に火がついて燃えているのを消し止めるように、急ぎ勤めて、仏道を学び行じなければならない。このように命懸けで学ぶことが、仏として肝心なことであると、仰います。

 60歳を過ぎれば、来た道のりの長きを思い、行く道のりの果てが見える頃かもしれません。薄くなった頭に火が燃えれば、熱さは半端じゃありません。待ったなしで払わなければなりません。燃えている火は、愚痴ったり嘆いたりしているしょうもない「お荷物」のことかもしれません。行く果てを思いながら、この1日この一瞬を大事に生きることです。13人の同級生は、そのことをまさに命懸けで教え残してくれました。

 それでは又、2月11日よりお耳にかかりましょう。

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