法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第854話】 「1分の1の命」  2011(平成23)年9月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第854話です。

 「21世紀、最初に歴史に刻まれた日は、9月11日かもしれない」と私はあるところに書いたことがあります。それ程衝撃的な大惨禍でした。10年前の9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルのツインタワー南北両棟に2機の旅客機が激突。同じ頃、他の場所でも2機の旅客機が墜落。ハイジャックによるまさに同時多発テロ事件でした。

 この事件で3千人余りの犠牲者が出ました。その後これを契機として、アフガニスタン紛争が勃発。兵士・民間人合わせて13万人もの尊い命が失われました。すべて人が人を思うがゆえに正義をかざし、人を恨んで成した仕業です。愚かといえば、これほど愚かなこともありません。そして、今年の9月11日はもう一つ特別な意味があります。

 3月11日に発生した東日本大震災からちょうど半年を迎える日です。10年前のこの日、世界中の人が同じ方向を見ていたことでしょう。今年もあれから半年の日本のことを、世界中の多くの人が注目しています。自然の猛威の成せる仕業とはいえ、1万5千人を超える犠牲者、行方不明者も4千人以上にのぼります。死者の数の多さゆえに、世間の関心が集まるというのは、やむを得ないことかもしれません。でも、一人ひとりの命は、何にも替え難いかけがえのないものであるということを忘れてはいけません。何千人の中の一人ではなく、この世でたった一つの命だったのです。人類は数え切れない命を誕生させ、また見送りました。その一人ひとりは、後にも先にも、その人だけなのです。

 この10年間、世界はどれだけ変わったのでしょう。相変わらず、自分に都合の良い正義を誇示して、命の奪い合いをしていないでしょうか。一人ひとりの存在は、46億年の地球の生命をを繋いで繋いで生まれさせていただいた命なのです。そう思えば、ちょっとやそっとで、その命を途切れさせていいわけがありません。

 徳本寺では大震災犠牲者のご遺骨をたくさんお預かりしていますが、あれから半年、変わることなく毎日お参りに訪れる人が絶えません。中には、雨の日も風の日もほんとうに毎日ご遺骨とお位牌の前で手を合わせる人もいます。繋いで授かった奇跡のような命なのに、奇跡よりも稀な大惨禍により、全く突然に途切れてしまった命を、100パーセント納得できる人はいないでしょう。
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 10年であれ、半年であれ、失われた命の数を記憶して大惨禍を風化させないことは大事です。そして亡くなった人は何千分の1の命ではなく、1分の1のその人だけの命であったことに思いを馳せることはもっと大事です。その人だけの名前を称えて手を合わせる時、自分も1分の1の命であることに気づきます。

 ここでご報告致します。8月のカンボジア・エコー募金は、254回×3円で762円でした。ありがとうございました。

 それでは又、9月21日よりお耳にかかりましょう。

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