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【第850話】 「大和撫子」  2011(平成23)年8月1日-10日

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20110801.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。
徳本寺テレホン法話、その第850話です。

 日本女子チームは勝利目前で同点にされ延長戦へ。1点勝ち越されたものの、すぐ同点に追いつき逆転。3時間半に及ぶ激戦に決着をつけ勝利しました。これは女子サッカーではなく、3年前の北京オリンピック・ソフトボールの3位決定戦のオーストラリアとの試合です。翌日の決勝の対戦相手は、アメリカ。3連投となり413球をひとりで投げ抜いたエースの上野由岐子投手の活躍などで、3対1で下し悲願の金メダルを獲得しました。この時、女子サッカーの「なでしこジャパン」は、ドイツに敗れ、4位となりメダルを逃しました。

 そのなでしこジャパンが、先月ドイツ・フランクフルトで行われたサッカーの女子ワールドカップで、延長戦後のPK戦の末にアメリカを破り、世界一になりました。その金メダルと優勝トロフィーはほんとうに誇らしげに見えました。ソフトボールの上野投手にも負けないような活躍をした澤穂希(ほまれ)主将が最優秀選手に選ばれました。名前の如く大和撫子の誉れと言っていいでしょう。

 時恰も、日本列島は東日本大震災という惨禍に見舞われ、沈没しそうな状況です。なでしこの活躍は、さわやかな感動と明るい希望をあたえてくれたということで「国民栄誉賞」にも輝きました。それは潤沢な支援や恵まれた環境に支えられての世界一ではないという背景が、今の日本人の心を奮わせるのでしょう。なでしこは日本代表とは言え、ほとんどがアマ選手です。昼間パートなどで働いて夕方から練習に打ち込む日々。いつでもグランドを使えるとは限らないなど、不遇に耐えて這い上がって来たという事実は説得力があります。沈みかけた舟に乗っているような私たちでも、最後まで諦めなければ必ず、然るべき岸に辿り着くことができるという思いを抱かせます。

 3年前のソフトボールの時もそうでしたが、大和撫子たる日本の女子は、今や軽やかに世界を闊歩している感があります。その昔は「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり」と、『土佐日記』にあります。女が日記を書くことさえ一大事であるかのようです。男がするボールを打ったり、蹴ったりということを女がして、これほど活躍するとは想像もできないことでした。もっともこの土佐日記は、紀貫之が、当時の男性は漢文で文章を書くのが普通とされ、和文を書くのは女性だったので、和文を書くという新しい試みのために女性になりすまして書いたものです。

 それはそれとして、『土佐日記』が書かれたのは、今から約千年前の承平4年(934)のことです。その65年前の貞観(じょうがん)10年(869)に、この度の大震災と同程度規模の貞観地震が起きています。東日本大震災が「千年に一度の地震」と言われる所以です。大和撫子は地震にも負けないエネルギーを千年も蓄えて、今日花開いたかのようです。

それでは又、8月11日よりお耳にかかりましょう。

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