法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第848話】 「水を差す」  2011(平成23)年7月11日-20日

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IMG_2609_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第848話です。

 我が山元町内にある中浜小学校は、その名の通り海岸から300メートルのところにあり、児童数59人です。東日本大震災が発生したとき、職員室のテレビは津波到達時刻を10分後と伝えていました。高台にある中学校への避難は間に合わないと判断し、校内の全員は屋上に避難することにしました。近所の人たちも加わり、90人が屋上に。第1波が浜辺の松をなぎ倒したのを見て、屋上にある屋根裏部屋に全員移動しました。更に巨大な第2波・3波と校舎の2階に達し、しぶきは屋上に降りました。そこで一夜を過ごし、翌朝自衛隊のヘリコプターで全員が救助されました。

 さて7月5日、被災地での放言が批判を浴びた松本龍復興・防災担当大臣は、就任わずか9日目で辞任しました。今回の復興大臣前に、震災当時は環境・防災担当大臣だったのでしょうが、その辞任の会見でこう述べています。「300日余りの大臣でしたけれども、環境と防災というたいへん大きな仕事を任された。それぞれ奇跡を見たり地獄を見たりした。石巻の大川小学校で手を合わせたりした。山元町の中浜小学校では孤立していた90人の児童を救えた。私も少しは役に立ったのかなとあのとき思って涙が出た」。

 まさに中浜小学校に自衛隊のヘリコプターを派遣するのに、当時の防災担当として陣頭指揮をしたのかもしれません。その同じ人が復興政策の責任者として被災地に来ておいて、自分を「お客様」呼ばわりして、「知恵を出さないやつは助けない」などと、まるで被災地の人々を切り捨てるかのような発言に、第4波の津波に襲われたかのようなやるせなさが募ります。

 もう一度、辞任会見を振り返るとこうも言っています。「一番お世話になったのは妻と子ども。感謝を申し上げたい」。確かにそうなのかもしれませんが、公人の発言とは思えません。そういうことは他人に聞かせることではなく、お家でゆっくり申し上げていいことでしょう。中浜小学校の屋上に避難した校長先生はじめ、教職員の方、近所の方、誰もが子どもたちを守ろうと必死で恐怖と闘っていたはずです。他にも今回の震災で、多くの方が自分や家族を顧みず、他の人のためにと献身的な働きをしています。

 お釈迦さまの言葉「法句経」に「おろかびとは この世間(よ)に溺るれど 心あるものには いかなる執着(まよい)もあるなし」とあります。津波のしぶき一滴も受けずとも、大臣という世間的な波に溺れたかのような発言でした。そして、津波でずぶぬれになりながら、心ある人は迷わず、自分も他人もなく手を差し伸べています。大臣の辞任如きで、これ以上復興に水を差ささないでもらいたいのです。被災地は十分に水浸しになっているのですから。

 ここでご報告致します。6月のカンボジア・エコー募金は、261回×3円で783円でした。ありがとうございました。

 それでは又、7月21日よりお耳にかかりましょう。

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