法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第839話】 「天にも地にも」 2011(平成23)年4月11日-20日

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20110411_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第839話です。

 東日本大震災から1ヶ月が過ぎました。何事もなかったかのように春はやって来ているかのようです。空の青さが違います。でも、そのさわやかな空とは対照的に、変わり果てた大地の光景が広がっています。水溜りが点在し、集められた瓦礫の山ができています。そして、どす黒い地面の下から、多数のご遺体が発見されていますが、全員の安否が確認された訳ではないので、今後もご遺体が発見される可能性はあります。

 お檀家さんの中でも、多くの痛ましい命が津波の犠牲になりました。これまで100人以上のご遺体と向き合い、供養のお経を挙げてきました。6歳から92歳まで、年齢はさまざまですが、約半数は70代以上の高齢者です。震災発生が午後という時間帯だったので、お家にいた方なのでしょうか。いずれにしても、その命の重みは計り知れなく、一人ひとりの命はかけがえのないものです。犠牲者の中には、命の重みを知るが故に、他の命にも思いを馳せ、一命を落とした方もいます。

 民生委員のある女性は、いつも一人暮らしのお年寄りを尋ねていたので、その時も心配になり、急ぎ自転車で訪ねるのですが、その方角は海の方だったのです。津波は思ったより早く尊い命を呑み込んでしまいました。また、ある女性は、隣に住むやはり一人暮らしのお年寄りに避難の声を掛けているうちに、波に襲われてしまいました。地元消防団の青年も、人々を避難誘導していて逃げ遅れ、犠牲になっています。地震発生から津波が襲ってくる僅か3〜40分のうちに、人はどれだけ津波に対する想像力を働かせられたしょうか。

 それでも、人間の命に対する想像力は、何にも勝る尊いものです。4月8日はお釈迦さまのお生まれになった日でしたが、誕生の時にお唱えされた、「天上天下唯我独尊」という言葉があります。「天にも地にも私の命が一番尊い」ということです。勿論、うぬぼれで言ったことではありません。自分の命が一番大事なことはその通りです。それは誰もがそうなのだと想像できなければいけません。つまり、自分の命をいとおしむように、他の命に対しても心を寄せましょうということです。

 我が身を顧みず、他の命に手を差し伸べた勇気ある人は、ほかにもたくさんいたことでしょう。まさにそんな彼らこそが、「天にも地にも一番尊い命」と言うきでしょうか。天のお空はその一部始終をご覧になっていて、それを称えんがために、こんなにさわやかな春の空になっているかのようです。

 ここでご報告致します。3月のカンボジア・エコー募金は、150回×3円で450円でした。ありがとうございました。

 それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。

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