法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第814話】 「寂しいお墓」 2010(平成22)年8月1日-10日

20100801.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第814話です。

 たいていのお墓は、墓石や灯籠など石でできたものです。その一つ一つに表情などあるはずもないのですが、見る人が見ると、お墓も何か語りかけてくることがあるようなのです。ある人は言いました。「ずらっと並んだお墓はどれも同じようですが、たまにとても寂しい感じのするお墓があります」。さて「寂しいお墓」とは、どんなお墓なのでしょう。

 連日真夏日が続いている今年の夏。その日の昼下がりも30度は優に超えた暑い日でした。一人の青年が寺に尋ねて来ました。箒とごみを入れる紙袋を貸してほしいと言います。遠くからある方のお墓参りに来たそうなのですが、あまりに草茫々で、ただお参りだけして帰るには忍びない。少しお墓の掃除をしていきたいとのことでした。聞けば、今から21年前に当時19歳という若さで、交通事故で亡くなったとある少年のお墓にお参りに来たのだそうです。自分は2つ下の後輩だが、生前良く面倒をみてもらっていたとか。

 19歳だった少年も元気でいれば、40歳になっているはずです。お参りに来た青年もそれに近い年齢です。亡くなって20年以上経っても、昔の仲間を偲んでお墓にお参りをするとは、生前の絆が偲ばれます。しかも、荒れているお墓を見かねて手を合わせる前に、お墓の草を取り、きれいにするという行いは、お線香何千本にも相当するお墓参りと言えるのではないでしょうか。

 一時間以上も経った頃、その青年は箒を返しに来て、お礼を言っていきました。炎天下にいたとは思えないほどの、とてもさわやかな表情でした。後日そのお墓の前を通ると、お墓はからっとしていて、きれいな花が手向けられていました。青年は汗を流しながら、一本一本草をむしり、箒で掃き清めながら、過ぎし日の20年を昔の少年に語りかけていたのかもしれません。

 「寂しいお墓」があるとして、もしかしてそれは草だけが賑やかに生えているところでしょうか。「生き生きとしたお墓」があるとして、そこはからっとして墓参りの足跡が賑やかについているところでしょうか。お墓の中にいる亡き人は、誰かにお参りをしてほしいと願っているはずです。勿論、毎日とは言わないまでも、草が生えたころにはそろそろお参りして欲しいという亡き人のメッセージと思って、お墓に足を運んでみてはいかがですか。誰ですか、「お墓に草は付きものですよ。だって、お墓のことを草葉の陰と言うでしょう」などとへ理屈をこねている人は。そんな心がくさったようなことを言うものではありません。お墓の草はなくさないといけません。炎天下の青年のお墓掃除は供養の原点、まさに「草分け」とも言えます。

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 それでは又、8月11日よりお耳にかかりましょう。
 

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