法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第763話】 「もうろう」以前に もどろう 2009(平成21)年3月1日-10日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第763話です。

 ローマでの主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席した中川昭一財務・金融大臣は、会議後の「もうろう会見」の責任を取って辞任しました。「もうろう」の原因は、薬の飲み過ぎなのか、アルコールのせいなのかは、明らかになりませんでした。

 しかし、その後に判明した事実では、その会見の15分後にバチカン博物館を観光したそうです。足取りはフラフラ、言葉もはっきりしない状態のままです。あろうことか、立ち入りが制限されている場所に入ったり、触ってはいけない展示品を素手で数回触ったために、警報が鳴ったというのです。不景気対策も忘れた財務大臣の、とんだ「ローマの休日」だったようです。

 最近話題になる、「品位」も「品格」もあったものではありません。でもそれは、もしかしたら現代の日本人を象徴していることなのかもしれません。何がしかの「力」を誇示し、「おれは何でもできる」「実績を残せば何をやってもいいだろう」という驕りがあるからです。困ったときの神頼みはしても、力があるときに、神も仏も見えていません。自分がこの世で一番偉いとばかりに、神仏に対する畏れを忘れた姿です。所謂、宗教的拠りどころを軽視している人が増えていないでしょうか。

 一方、1月に行われたアメリカの大統領の就任式で、バラク・オバマ氏は、ミシェル夫人の持つ聖書の上に左手を置き、右手をかざして「合衆国大統領の職務を忠実に遂行する」と宣誓しました。しかも2度もです。本番の就任宣誓の時、立ち会ったロバーツ最高裁長官が、「宣誓の言葉」の語順を間違えたため、大統領もそのまま復唱してしまいました。法律上は「有効」という見解だったようですが、「念のため」翌日、宣誓のやり直しをしています。そこには明らかに「神に対する畏れ」があります。

 神の前では、大統領といえども完璧な人間ではありません。その意識があるからこそ、非力ながら完璧を目指して努力しますので、見守って下さいという心を込めて誓うのでしょう。至らず暴走するようなことがあったら、どうか「ブレーキ」をかけて下さいということでしょうか。それは取りも直さず、ブレーキをかけてくれるものによって、自分は守られているということになります。

 あなたは今、何によって守られていると思いますか。自分の力だけを信じた人は、もうろうとしてしまいました。「もうろう」以前に「もどろう」として、今更、神仏に誓って、お酒は慎みますと言っても、そんないい加減な言葉は「誓う」とは言いません。それは「違う」と言われるのがオチです。

それでは又、3月11日よりお耳にかかりましょう。

法話のご案内 一覧