法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第758話】 「天下の.」 2009(平成21)年1月11日-20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第758話です。

「箱根の山は天下の険」と歌われているように、本当に険しい地形なのでしょう。どうしてそんな山を登る駅伝を思いついたのでしょうか。ともあれ、箱根駅伝は東京・大手町から神奈川・芦ノ湖往復10区間217.9㌔で2日間にわたって繰り広げられ、今や正月の風物詩にもなっています。

しかし、走る学生にとっては、風物詩などと呑気なことは言っていられません。取り分け、往路の5区は10区間のうち距離も一番長く23.4㌔で、標高差は864㍍という山登りの区間です。その山登りのコースで、特に様々なドラマを生んできました。今年もとんでもないドラマがありました。

東洋大学の1年生柏原竜二選手は、9位でたすきを受け取りました。そして、トップとの差は絶望的とも思える4分58秒もあります。しかし、絶望的と思っているのは周りの人たちだけで、本人は「どうせつぶれるなら、ガンガンいってつぶれよう」という気概だったようです。平坦を走るかのように山を登り、8人を抜き去り、区間新記録を立てトップでゴール。東洋大学に初の往路優勝をもたらしました。

東洋大学はこの1年生の奇跡的な活躍に刺激を受けたかのように、翌日の復路のレースにおいても、粘り強い戦いを続け、とうとう総合優勝を果たしました。陸上部員の不祥事もあり、監督も辞任し、出場さえ危ぶまれていた東洋大学の優勝を予想した人は、果たしていたでしょうか。1年生とは思えないほどの、まさに前向きな気持ちと走りっぷりが、チーム全体の士気を高めたのでしょう。

それもそのはずです。柏原選手は、「奇跡は信じるだけでは起きない。起こそうとすれば起きる」この言葉を座右の銘としているとか。なるほど、私たちは何か困ったときに、奇跡を信ずるというよりは、奇跡が起こらないかな等と、ただ漫然と過ごすことがあります。それは自分が何もしなければ、奇跡も幸運も訪れないということに気づいていないからです。

昨年は「誰でも良かった」などと嘯(うそぶ)いて、自分のやる気のなさを棚に上げ、悪いことの全てを他人のせいにして、ナイフを振り回す事件が相次ぎました。今年は人頼みの生き方ではなく、自らを奮い立たせられるようでありたいものです。そのためには、ナイフならぬ、柏原選手の走った「天下の〈.〉」を持って、腑抜けた心を成敗しましょうか。

ここでご報告致します。12月のカンボジアエコー募金は310回×3円で930円でした。ありがとうございました。
それでは又、1月21日よりお耳にかかりましょう。

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